「もう少しでごはんできるよ」
そう声をかけても、スマホから目を離すことなく、返事もなし。
最近は、お風呂の声かけにも無反応で、こちらの呼びかけは空気のようにすり抜けていきます。
ふと気づけば、娘と話す内容は「遅刻しないように」「スマホやめて」「危ないから早く帰ってきて」…そんな注意ばかり。
あれ?
最近、あの子の笑った顔…見ていないかもしれない。

叱るつもりはないのに…すれ違う母と娘の毎日
夜、リビングでスマホを見つめる娘。声をかけても返事はなく、視線は画面の中。
「ご飯できたよ」
「お風呂入って」
そんな日常の言葉でさえ、無視されるのが当たり前になってきました。
朝は「遅刻しないようにね」と声をかけても、起きてこない。
遅刻した日は「明日はどうするのか、一緒に考えよう」と促してみても、返ってくるのは無言か、反抗的な態度。
夜になっても帰ってこない日があると、心配でたまらないのに、連絡しても既読にならないか、「うるさい」とだけ返事がくる。
以前は他愛のない話をしたり、笑い合ったりできていたのに、今は規律や注意の話ばかりになってしまって。
そんな自分がいやで、でも親だから言わなきゃとも思って、苦しくなる。
「このままでは、本当にダメなんじゃないか」
ふと、そんな思いが頭をよぎります。
この距離がもっと広がってしまったら。
娘が何を考えているのかまったく分からなくなってしまったら。
将来、取り返しがつかないほど壊れてしまったら――そんな不安が消えません。
“私が変わらなきゃいけないのかもしれない”
でも、何をどう変えたらいいのか分からなくて。
目の前にいる娘と、どう向き合えばいいのか、自問自答する日々です。
反抗の奥にある気持ちに、そっと近づく
正直なところ、何をどうしたらいいか分かりませんでした。
言っても無視される、話しかけてもケンカになる。
でも、このまま放っておいて、ますます遠ざかってしまうのはもっと怖い――そう思って、私は少しやり方を変えてみることにしました。
まずは、「注意」や「指示」を減らそうと決めました。
朝起きられないのも、夜遅く帰るのも、もちろん気になります。
でも、それを口に出す前に、一度立ち止まって「今この子に必要な言葉は何だろう」と考えるようにしてみました。
たとえば、帰宅が遅かった日。
「なんでこんなに遅くなるの?」じゃなくて、「無事に帰ってきてくれてよかった」とだけ言ってみたんです。
すると、一瞬だけど、娘の表情がやわらいだ気がしました。
もちろん、会話がスムーズになるわけじゃありません。
でも、“私の言葉がちゃんと届いたかも”と思える瞬間が、少しずつ増えてきました。
あとは、娘の好きなアニメや音楽をこっそり調べて、何気なく話題に出してみたり。
スマホばかり見ている姿を「ダメ」と決めつけずに、「何見てるの?」と聞くだけにしてみたり。
それが正解だったかは分かりません。
でも、「私もあなたに興味があるよ」「あなたのことを知りたいよ」って気持ちは、どんな形でも伝わるんじゃないかと思って。

「わかろう」とする気持ちは、きっと届いていると信じたい
今もまだ、娘との関係に明確な答えが出ているわけではありません。
注意すれば反発され、放っておくと距離が開くようで、不安や焦りに押しつぶされそうになる日もあります。
でも、だからこそ私は「正しさ」よりも「向き合おうとする姿勢」を大事にしようと思いました。
なぜなら、うまくいかない日ばかりの中でも、
・私が冷静に話しかけた時は、少しだけ柔らかい返事が返ってきたこと
・黙っていても「いってきます」と声をかけてくれる日があったこと
・私が感情をぶつけなかった日は、ほんの少し娘の表情が和らいだように見えたこと
そんな小さな変化に、私は「伝わっていないわけじゃない」と感じたのです。
今の私の気づきが、正しいかどうかはわかりません。
でも、わからなくても、間違っていたとしても、「あなたをわかろうとしてるよ」という気持ちは、必ずどこかに届く——そう信じて、今日も娘と向き合ってみようと思います。
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